逸話篇

48. 待ってた、待ってた

 明治九年十一月九日(陰暦九月二十四日)午後二時頃、上田嘉治郎が、萱生の天神祭に出かけようとした時、機を織っていた娘のナライトが、突然、「布留の石上さんが、総髪のような髪をして、降りて来はる。怖い。」 と言うて泣き出した。いろいろと手当てを尽したが、何んの効能もなかったので、隣りの西浦弥平のにをいがけで信心するうち、次第によくなり、翌月、おぢばへ帰って、教祖にお目にかからせて頂いたところ、
 「待ってた、待ってた。五代前に命のすたるところを救けてくれた叔母やで。」
と、有難いお言葉を頂き、三日の間に、すっきりお救け頂いた。時に、ナライト十四才であった。