逸話篇

63. 目に見えん徳

教祖が、ある時、山中こいそに、

「目に見える徳ほしいか、目に見えん徳ほしいか。どちらやな。」

と、仰せになった。

こいそは、「形のある物は、失うたり盗られたりしますので、目に見えん徳頂きとうございます。」 と、お答え申し上げた。

 

山中こいそ(山田いゑ)

山中こいそは教祖の高弟山中忠七の二女で、当時教祖の身近にお仕えしていた。ひと目見た山田伊八郎(敷島分教会2代会長)はこいその人柄にひかれて早速結婚の申し込みをしたが、教祖のお許しがないとの理由で断られる事2度。

2年後の3度目の申し込みで「嫁にやるのやない。……南半国道弘めに出す。」との教祖の言葉によって、明治14年5月に結婚した。伊八郎34歳、こいそ31歳。

59. まつり 明治十一年正月、山中こいそ(註、後の山田いゑ)は、二十八才で教祖の御許にお引き寄せ頂き、お側にお仕えすることになったが、教祖は二十六日...