逸話篇

136. さあ、これを持って

 教祖が、監獄署からお帰りになった時、お伴をして帰って来た仲田儀三郎に、監獄署でお召しになっていた、赤い襦袢を脱いでお与えになって、
 「さあ、これを持っておたすけに行きなされ。どんな病人も救かるで。」
と、お言葉を下された。
 儀三郎は、大層喜び、この赤衣を風呂敷に包んで、身体にしっかりと巻き付け、おたすけに東奔西走させて頂いた。そして、
 なむてんりわうのみこと なむてんりわうのみこと
と、唱えながら、その赤衣で病人の患うているところを擦すると、どんな重病人も、忽ちにして御守護を頂いた。