明治十七年頃の話。教祖が、監獄署からお出ましの日が分かって来ると、監獄署の門前には、早くから、人が一杯になって待っている。そして、「拝んだら、いかん。」と言うて、巡査が止めに廻わっても、一寸でも教祖のお姿が見えると、パチパチと拍手を打って拝んだ。警察は、「人を以て神とするは、警察の許さぬところである。」と言うて、抜剣して止めて歩くが、その後から、又手を打って拝む。人々は、「命のないところを救けてもろうたら、拝まんといられるかい。たとい、監獄署へ入れられても構わんから、拝むのや。」と言うて拝むのであるから、止めようがなかった。