逸話篇

192. トンビト−ト

 明治十九年頃、梶本宗太郎が、七つ頃の話。教祖が、蜜柑を下さった。蜜柑の一袋の筋を取って、背中の方から指を入れて、
 「トンビト−ト、カラスカ−カ−。」
と、仰っしゃって、
 「指を出しや。」
と、仰せられ、指を出すと、その上へ載せて下さる。それを、喜んで頂いた。
 又、蜜柑の袋をもろうて、こっちも真似して、指にさして、教祖のところへヒヨ−ッと持って行くと、教祖は、それを召し上がって下さった。