ある日突然我が家にやってきた『カツオ』
息子が子猫を拾って来た、片目は潰れて開いていない。
「ニャンニャン」と泣いて甘えてくるその子猫を育てると言う。それは大変なことだなあと思った。息子は哺乳びんで子猫にミルクを飲ませ、排便の世話もしてトイレトレーニングもできた。
けれど始めの心配通り、結局主人と私も子猫の世話をすることになってしまった。名前は“カツオ”に決めたという、てっきりオスだと思っていたが、だんだん大きくなってメスだということがわかったが、名前はそのままで通すことになった。
ある日カツオが交通事故に会った。
唯一見えていた目も大きな傷を負い、身体全体もかなり重傷だった。私はもう駄目かもしれないと思いながらも血だらけのカツオをバスタオルで包み、少し水を飲ませた。主人と息子も駆け付け、すぐに病院へ連れて行ってくれた。
病院の先生も厳しいとのことだったが生命力があったのだろう、一命をとりとめ一週間後退院することが出来た。
退院の日、迎えに行った主人を見てカツオがゴロゴロと喉を鳴らしたと言う。主人が先生にどうして喉を鳴らしているのですかと聞くと、家族が迎えに来てくれて嬉しくてたまらないからと教えて下さったそうだ。
主人は特別何もしてやってないのにと思ったそうだが、私はそれを聞いてカツオはいつもトイレの後始末をして掃除してくれている人のことをわかっていたのだと思った。動物の生命力はすごいもので日に日に元気になりかわいいしぐさで私達を癒やしてくれた。
2回の家出
ところがある日カツオが家出をした、市役所の担当者に問い合わせても該当するネコの情報はないという両目とも不自由になっているのにどこへ行ったのか1週間近くになっても帰ってこない。しかし、しばらくしてあきらめた頃にひょこっと帰ってきた。うそでしょう!?信じられなかったが帰ってきたことに感動した。
そしてそれも束の間、二度目の家出となった。息子は「僕の夢枕に出てきたからもう帰ってこない」と言う。私も何か感じるものがあり、ああ、そうなんだと思った。カツオは自分を見つけて拾ってくれた息子にお別れを言いに帰って来たのだと思う。「カツオありがとう!」と私は心の中でつぶやいた。
カツオを通しての気付き
どんな生き物でも愛情をかけて育てればそれが伝わり、それに応えてくれるということをカツオを通してあらためて教えてもらった気がする。今年は思いもかけない新型コロナウイルス流行で大勢の方が亡くなった。そして自ら命を絶つという悲しいニュースも聞く。それを思うともっともっと命を大切にしなければならないと思った。
バラの大好きなMi