逸話篇

120. 千に一つも

明治十六年の春頃、山沢為造の左の耳が、大層腫れた時に、教祖から、

「伏せ込み、伏せ込みという。伏せ込みが、いつの事のように思うている。つい見えて来るで。これを、よう聞き分け。」

とのお言葉を聞かせて頂いた。又、

「神が、一度言うて置いた事は、千に一つも違わんで。言うて置いた通りの道になって来るねで。」

と、聞かせて頂いた。それで、先に父の身上からお聞かせ頂いたお言葉を思い起こし、父の信仰を受けつがねばならぬと、堅く心に決めていたところ、母なり兄から、「早く身の決まりをつけよ。」とすすめられ、この旨を申し上げてお伺いすると、教祖は、

「これより向こう満三年の間、内の兄を神と思うて働きなされ。然らば、こちらへ来て働いた理に受け取る。」

と、お聞かせ下された。