逸話篇

82. ヨイショ

 明治十四年、おぢばの東、滝本の村から、かんろだいの石出しが行われた。この石出しは、山から山の麓までは、真明組の井筒梅治郎、山の麓からお屋敷までは、明心組の梅谷四郎兵衞が、御命を頂いていたというが、その時、ちょうど、お屋敷に滞在中の兵庫真明組の上田藤吉以下十数名の一行は、布留からお屋敷までの石引きに参加させて頂いた。
 その石は、九つの車に載せられていたが、その一つが、お屋敷の門まで来た時に、動かなくなってしまった。が、ちょうどその時、教祖が、お居間からお出ましになって、
 「ヨイショ」
と、お声をおかけ下さると、皆も一気に押して、ツーッと入ってしまった。
 一同は、その時の教祖の神々しくも勇ましいお姿に、心から感激した、という。