逸話篇

125. 先が見えんのや

 中山コヨシが、夫重吉のお人好しを頼りなく思い、生家へかえろうと決心した途端、目が見えなくなった。
 それで、飯降おさとを通して伺うてもらうと、教祖は、
 「コヨシはなあ、先が見えんのや。そこを、よう諭してやっておくれ。」
と、お言葉を下された。
 これを承って、コヨシは、申し訳なさに、泣けるだけ泣いてお詫びした途端に、目が、又元通りハッキリ見えるようになった。
  註 中山コヨシは、明治十六年八月二十七日結婚。これは、その後、間もなくの事と言われている。