逸話篇

156. 縁の切れ目が

 松田サキは、大和国五条野村の生まれで、先に一旦縁付いたが、そこを振り切って離婚し、やがて二十三才の時再婚した。
 明治十六年、三十才の時、癪餅ちから入信したが、翌十七年頃のこと、右腕に腫物が出来て、ひどく腫れ上がったので、お屋敷へ帰っておたすけを願うた。
 教祖にお目通りさせて頂くと、
 「縁の切れ目が、命の切れ目やで。抜け出したいと思うてたら、あかんで。」
と、お言葉を下された。このお言葉を頂いて、サキは、「決して抜け出しません。」と、心が定まった。すると、教祖が、息を三遍おかけ下された。その途端、右腕の痛みは立ち所に治まり、腫れは退いて、ふしぎなたすけを頂いた。